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治療共同体とは何か

歴史

「治療共同体」という運動は、もともと1940年代英国の精神医療施設における民主化運動と して始まった。その後60年代米国西海岸で、アルコール薬物依存症者による自助組織シナノンに よって,回復策としての有効性が認められ、これをひきついだニューヨークのデイトップビレッジに よって基礎が固められた。現在はほとんどの西欧諸国始め、世界各国に治療共同体施設が普及し、 64ヶ国が参加する「世界共同体連盟」が形成され、二年ごとに世界総会を各地で開いている。

特性

今日世界各地の治療共同体は、それぞれの地域の文化環境を生かしそれぞれの施設の特色を もつが、次のような共通性をもつ。

1−諸分野のスタッフによる協働作業

TCの運営と治療回復プログラムの実施は、医師、カウンセラー、ソーシャルワーカー、 教師、法律、宗教、職業指導、家族セラピーなどの専門家スタッフと、依存症を克服し カウンセラーの資格を取得した回復者スタッフとの協働作 業によって行われる。施設経営者から 保全要員にいたるまで皆同じ理念(vision)、使命感(mission)と哲学(philosophy)をもって、 平等な立場で話し合い、関わる。

2−治療の基本的概念

医療機関や矯正機関のように上から教導されるのではなく、依存症者同士が対話を通じて 自分の姿に気付き、新しい生き方を模索していく。これは、AA(断酒会)と12ステップの伝統 から受け継がれた手法である。依存症者の多くは自尊心が低く、自他を傷つけ、反社会的な行動を とってきた。毎日数回のミーティングを通して、彼らがこれまで受けた心の傷に気付き、そのときの 怒りや否定的な感情を健全な方法で表現(言語化)できるようになり、他者の痛みにも共感できる ように成長していく。それは互いの『加害者の中の被害者に寄り添う』なかから生まれる、受容と 赦しと信頼関係である。入寮者はミーティングと作業の綿密なプログラムに沿って生活し、模範と なる回復したスタッフや仲間と関わるなかで、治療と長期回復と社会復帰のために必要な新しい 生き方とアイデンティティーと仲間意識が形成される。

3−治療プロセスは三段階

ステップ1
オリエンテーション。解毒と動機付けと入寮準備。
回復施設に1〜3ヶ月通所または入寮。
ステップ2
人間再教育のための治療共同体生活。
郊外の治療共同体に約2〜24ヶ月入寮。
ステップ3
社会復帰。就職、就学、自立の準備。
1〜2年かけて市内の社会復帰施設から自立していく。

日本の状況

日本では、これまで30年にわたり、全国各地に約60の民間回復支援施設を運営するダルク (Drug Addiction Rehabilitation Center)を始め、それぞれの特徴を活かしたNPO法人が運営する依存症リハビリ施設が活動している。回復者であるスタッフは 限られた財政支援にも負けず、日夜依存症者の救済のために奮闘している。 実施プログラムや公的支援の面で、その拡充は今後の課題となっている。

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